日出処の天子 日出処の天子

「見ろ、毛人!…なんと美しい花ではないか。世にも珍しい、鮮やかな薄紅色をしておる」

厩戸と毛人の視界に、一面の花畑が広がった。
平素のような堅苦しい顔も綻ばせ、厩戸は華麗に舞う蝶のように、花に寄り添った。

「美しい花だ。しかしそれ故に散るのも早い…」

厩戸の白くて柔らかい手のひらの上に、薄紅色の花弁がひとひら、ひらひらと舞い落ちた。
長い睫毛を伏せ、あれこれと思いを巡らせている厩戸を見、毛人は後ろからそっと厩戸を抱き締めた。

「毛人…? ……放せ!毛人!…放せ!」

突然、その身体を抱えるようにまわされた毛人の腕が、厩戸の身体を優しく包む。

「いいえ、放しませぬ。あなたはあの花のようには、散りませぬ」

毛人に耳元でそう囁かれて、厩戸はふっと息を漏らす。

「………私は…そのようなことは考えてはおらぬ」

背中を通して伝わる毛人の体温が、あまりにも温かいものだから、厩戸は己を包む毛人の手に、己の手を重ねた。





文:アキヨシ  絵:凪  背景写真:アキヨシ(笑)

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写真撮ったから、なんか絵を描け、といわれて強制えみうま(笑)
写真はかなり加工させて頂いております。
今回の流れは 写真→絵→小説 という三段構え。
「文が甘過ぎる」
「絵が甘過ぎる」
と、お互いがお互いを甘いと…

花をバックに甘くない絵なんか描けない!!


20071214