熱く熱く蒸した空気が部屋を制圧した
くすぶっていた、それまでの二人の気持ちがこぼれて溶け合って、そして今求めあおうとしている


「・・・幸村」


低音の振動は、今の幸村には酷く辛く響く
下半身が波立って、ぎゅっと足を閉じたいのに、それも低音の声の主は許してはくれない
自分の足の間に割り入って、今にも乗っかりそうな勢いだ


「・・・ほら、しゃぶれよ」

『・・・ヤダ』

思うのに拒絶はしない
・・・したくない

口唇に無遠慮に侵入してくるその指を、おずおずとだが噛まないように受け入れる
血の匂いと酒の香りと、そんな廃退の味が今の自分達にはお似合いだ
そんなちょっと投げやりな気持ち



・・・クチュ

狂の指先が、奥に引っ込んだ幸村の舌を刺激する

「・・・ん」

こんな少しの侵入が、まるで全て呑み込まれてしまうかの恐怖になる
心の深くを抉られてしまう
柔らかで繊細な幸村の心の深くを、どんどん引っ掻いて暴いてしまう強引な指
舌を動かして指先に絡めたら、狂の瞳の紅が濡れた気がした

・・・悦んでる

幸村には分かる
人を斬る以外で、こんなに興奮している狂を見るのは初めてだ

いつのまにか幸村は自分から舌で狂の指を舐っていた
自分の口内には大きい侵食は、あまりに苦しくて涙が零れる
それでも夢中で欲しかった

あの関ヶ原で見た紅眼の鬼の激しい狂熱に、あの瞬間から捕らわれているのだ
今の幸村は息苦しさも、どんなに酷く身体を貫く痛みだって、この漢から与えられるものだったらなんだって受け入れられる


そしてやっと今、それが叶う予感が喜びの涙に変わっていた




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 絵  :幸村→私、狂→綾北さん
テキスト:流那さん


6/5にやった絵チャの二枚目です♪
モエモエ。
久しぶりにモエヒツジが現れたよ、ふふふ。
これ以外の絵は、絵チャログの方にアップしてます。

ちょっと遊んじゃいました…。