三巻  信幸と小太郎(右近)


「小太郎殿は、すこやかになられたようだな。もはや、白毫子(白うさぎ)などと呼ぶのを、つつしまねばならぬ」
「はい。馬にも乗れまする」
小太郎が胸を張っていうのへ、
「おお。それはえらい」
信幸は口先だけではなく、あくまでもまじめな表情を崩すことなく、
「よう、約束をまもりましたな」

■三年前■

「小太郎殿にとっては、何も戦をするがために馬へ乗り、武芸にはげむのではなく、その弱い躰に強い筋肉をつけ、 丈夫な若者となられるために、ぜひとも仕てのけねばならぬ。それでないと、いつまでも、この源三郎と語り合うことも 遊ぶこともできぬ。躰が弱ければ早死にをするのが道理であろう。もしも、私より先に小太郎殿が早死にをしてもよいと 申すのなら、今のままに暮らすもよい。いかがだ?」

「いやでございます。いやでございます」
「な、そうであろう」
「はい」
「ならば約束をいたそう。いずれまた、二人が会うときまでに、かならず、馬へ乗ることをおぼえなされ」
「はい。かならず…」


小太郎きゃわいい…!!!
現在14歳で、三年前に11歳だとしてもこれは小さすぎるんですけど、どうも11歳のときにも8〜9歳にしか見えなかったという 記述があったような気がするので、まぁいいか…。